2015年4月29日水曜日

東京訴訟第1回口頭弁論後の記者会見から(速報)


■4月27日午後4時から30分
■東京地裁内・司法記者クラブ会見室

記者会見では、別紙レジュメに基づき意見陳述、裁判のポイントなどを報告した。


[神原弁護士] 本日は、被告側の答弁書に反論した。
1. 「捏造」は「意図的な事実の改ざん」と判例があり、「論評」ではない。西岡さんは、記事について著作で「紙面を使って意図的な噓を書いた」とも書いている「捏造」だ。
2. 動機についても「事実摘示」にあたるという最高裁判決があるので、義母の裁判を有利にする目的でというところも事実摘示にあたるというのが当方の考え。
3. 「挺身隊」という本人が言っていない事実を加えた、という主張について。他の新聞記事も同様に書いている。91年8月24日の読売新聞の記事でも書いている。産経も北海道新聞も同じように書いている。金学順さん自身が記者会見で「挺身隊慰安婦」という表現を使っている。植村さんが、本人がしゃべっていない経歴を書き加えたのではない。
4. 植村さんがキーセンの問題に触れなかったとされている問題。これは読売新聞も、同じく触れていない。93年8月の産経新聞が金学順さんについて紹介した記事でも触れていない。当時の記者はみな同じような判断をした。植村さんにだけ捏造の故意があったとはいえない。
5. 強制連行を捏造する動機があったという主張。記事は金さんが裁判を起こす4カ月も前。植村の義母と金さんが会ったのは植村さんの記事の後。植村さんは情報を当時の朝日ソウル支局長から得た。植村さんは結婚前から慰安婦の取材をしている。親族の裁判を有利にするための記事という推論は成り立たない。 植村さんの記事には「強制連行」という言葉は使われていない。産経新聞には「強制連行された」と書かれている。保守系と言われている読売、産経にも使われている。より強い表現を使っている中、植村さんが使わなかったのに「強制連行をでっち上げた」という推論は成り立たない。こちらの反論の骨子を示して相手の主張を待つ。 6月29日に何を言ってくるのかを待つということになる。

 【植村さん】 韓国では戦後、ずっと慰安婦のおばあさんが胸に秘めてしゃべることがなかった。私は90年夏に慰安婦のおばあさんの証言を聞こうと歩いたが聞けなかった。91年に朝日新聞ソウル支局の情報で、挺対協が調査しているおばあさんのテープを聴いて、団体に状況を取材して記事を書いた。第1報です。
 西岡力さんは、最初は事実の重大な誤認といっていたが98年から捏造と言い始めた。週刊文春が、お嬢様大学に行くという記事を書き、大学に攻撃が行って私の就職もダメになった。
 私が非常勤をしている大学にも攻撃が行った。大学は雇用継続をやめようとしたが、学者や市民による大学を応援するメールなどの動きがあり、雇用継続を決めてくれた。新年度から授業をやっている。12~13人。韓国、インドネシア、台湾、日本の学生も入っている。
 意見陳述書で言いたかったのは、「娘を殺す」とまで言われた。これが許せない。植村があたかも強制連行のように書いたから捏造だと言っている。金学順さんが強制連行と証言したのは事実だが、私は強制連行と書いていない。それなのになぜ異常な攻撃が続くのか。 西岡さんは最初は「他の新聞もみんな書いた」と言っているのになぜか私が狙い撃ちされた。その怒りと悲しみ。さまざまな証拠によって立証していく。

 【神原】産経新聞2月23日に秦郁彦さんの論文が掲載された。植村は言論で反論しないで訴訟を起こしたのはスラップだと言っている。植村さんは提訴の前にさまざまなメディアの取材を受けて手記も発表した。秦さんの論文はそもそも、前提の事実が間違っている。それについては、産経新聞に訂正の申し入れを3月27日付で送り、3月30日に到着している。産経からは問い合わせを受けている。事実関係の誤りが著しいので謝罪を求めたい。

 【中山武敏弁護士】弁護団長の中山です。植村さんの「捏造などしていません」という思いに答えて、植村さんの名誉回復、人権侵害を許さない。日本の民主主義がゆがめられていると思う。「不当なバッシングに屈しない、私一人ではない」という言葉を思い出して、植村さんを元気にしていきたいと思う。

【質疑】)
 Q 向こうからの答弁書に対する反論も提出したのか。
 A 争点は訴状に出ているものばかり。新たな論争ではないが、答弁書に答える形での意見陳述をした。骨子でおおざっぱにですが。論点としてはほぼ網羅した。

 Q 被告は出席していなかったが、さらに詳しい主張をしてくるのか。
 A 主張の要旨は以下の通りと言うことなので、さらに詳しく主張してくると理解している。

 Q 被告側の証人尋問は考えているか。
 A 裁判が展開していって、本人尋問ということはあり得るでしょう。そのときは法廷で出席していただいて西岡さんの考えを聞くことになる。
   普通はあちらから請求するでしょうね。確定的なことは言えないが。名誉毀損は真実性の立 証責任は被告側にある。自らの真実性の根拠として本人を請求することになると思う。

 Q 被告が欠席したことについての感想を。
 A 特別なことではないので、とくに第1回なので特別なことではありません。

 Q 「西岡さんはなぜ私を攻撃するのでしょうか」というが、朝日を辞めてからバッシングが厳しくなってきたのか。なぜ激しくバッシングしているのかについて。
 A それを私も知りたい。なぜそうなのか。たまたま西岡さんの本を読んでいる。その中に、挺身隊として強制連行されたと噓をつく新聞記者とか、キーセン出身の慰安婦を原告にして裁判を起こす人たち。慰安婦は性奴隷という詭弁を書かせたNGOはすべて「反日的日本人」として、膨大なネットワークをもち、この美しい日本を貶め続けているとある。
 日本を貶めたということが言いたいのではないかと思う。
  「うそつきと闘う」というが、噓はついていない。歴史的事実と向かい合うことをよしとしない背景にあるのではないか。
 

植村隆さん(元朝日新聞記者)を応援するサイトです。

1991年に書いた「従軍慰安婦」に関する2本の署名記事。23年後に「捏造」のレッテルを貼られ、植村さんは言論テロとも言える攻撃を受けています。

非常勤講師として勤務する大学へも脅迫状や大量の抗議メール・電話が届き、高校生の娘さんはネット上で「自殺に追い込め」など脅しの言葉にさらされています。 言論で対抗してもデマの拡大は止まりません。

そこで、汚名を晴らし家族らの人権を守り、大学の安全をとり戻すため、2件の名誉棄損裁判を提訴しました。2015年1月、週刊誌で「捏造記者」とコメントした西岡力氏とその発行元を被告に東京地裁へ。同2月、西岡氏の言説を拡大し脅迫を肯定するような記事まで書いた櫻井よしこ氏と掲載した週刊誌などの発行元3社を被告に札幌地裁へ。

「植村応援隊」はこの裁判や植村さんの言論活動を応援するために、1月30日に結成されました。ぜひ一緒に応援してください。